菊池氏の事件で問われる裁判員裁判の必要性

公開日: 2015年12月1日 社会 政治


1審東京地裁の裁判員裁判で懲役5年を言い渡された教団元幹部、菊地直子被告の控訴審判決が、東京高裁で開かれました。大島隆明裁判長は1審判決を破棄し、無罪を言い渡しました。


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・菊池氏は何をした?

平成7年、オウム真理教幹部らが東京都庁の郵便物に爆弾を仕掛けました。その小包は都庁の知事秘書室で爆発し、職員が重傷を負いました。その際、菊地被告は、山梨県内の教団施設から東京都内のアジトまで爆薬原料の薬品を運びました。

事件後約17年間逃亡し、平成24年6月に逮捕されました。殺人未遂幇助罪などに問われ、1審東京地裁の裁判員裁判で懲役5年を言い渡されていました。



・なぜ無罪になった?

無罪を言い渡した大島裁判長は、1審が有罪の根拠とした元教団幹部の井上嘉浩死刑囚の証言を「17年も経過しているのに不自然に詳細かつ具体的で、信用できない」と指摘しました。

1審の有罪にした根拠が不十分であるとして、無罪を言い渡したのです



・何が問題だった?

1審の判決を覆す場合、なんでも覆せるわけではありません。新しい証拠がでたなど何かしら理由がなくてはいけません。

大島裁判長は1審での判決の根拠に事実誤認があることを指摘しました。事実誤認を理由に判決を覆す場合は、不合理な点を具体的に示さなければいけません。

しかし、今回の指摘には「証言が詳細すぎて不自然」と漠然としています。なぜ井上は勘違いしたのか、なぜ菊池氏は逃げたのか、そこまで具体的にしないといけません。にもかかわらず、破棄して無罪にしてしまったのです

これは、裁判員制度の根底を揺るがすものといえます。今回の高裁判決のように、裁判員の判断が簡単に覆されてしまうようでは、こうした裁判員裁判の制度を台無しにする恐れがあります。



・なぜ裁判員制度が導入された?

裁判員裁判を導入した背景には、司法に対する不信がありました。警察や検察、職業裁判官を信用できなかったのです。

警察が証拠のでっち上げを行なったり、それに対して、検察は無理やり自白させたり、といったことが多かったのです。その上、裁判官も検察の言われるがままに判決を下しました。

自分の下した判決が、次の判決で覆ってしまうと、出世に影響します。検察の言うとおりに判決して、ベルトコンベアのように有罪にするのが、出世する近道なのです。そのため、否認事件が無罪になる可能性1%以下と言われています。

そこで、裁判員制度が導入されたのです。



裁判員裁判を導入した意味がないとして、なくすべきだという意見があります。対して、高等裁判所にも裁判員制度を導入ずべきという意見や、裁判員裁判の出した結論には高いハードルを設けるべきという意見もあります。


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