安保法案が必要な理由は「中国の脅威」

公開日: 2015年8月1日 国際 政治

引用:http://sucimg.itc.cn/sblog/o98d446dd31cb9815854c23237d065184


「中国の力による現状変更の試みに対しては、事態をエスカレートすることなく、冷静かつ毅然として対応していく」

安倍首相は29日の参院平和安全法制特別委員会でこのように述べ、中国が東シナ海や南シナ海で進める強引な海洋進出を抑止していく必要性を指摘しました。

また「戦略的互恵関係の考え方に立ち、関係を改善していく」とも述べ、中国との対話の重要性も強調しました。



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・なぜ安保法制が必要?

安部首相は、衆議院の審議では中国の脅威に触れることを避け、集団安全保障下での海上自衛隊による機雷掃海作業が必要であると強調しました。

政府が例であげたのが、ホルムズ海峡です。もしこのホルムズ海峡に機雷が敷設されて、海上交通路(シーレーン)が封鎖されれば、今までこの海峡を通って輸入されてきた原油が途絶えてしまいます。

この海峡では、日本が輸入する原油の8割が通過しており、日本にとって死活問題です。このような場合を「存立危機事態」にあたるとして、集団的自衛権に基づく海外での武力行使が必要であると説明しました。



・なぜ中国が脅威?

ところが参議院の審議では、安部首相は「中国の脅威」を明言しました。

南シナ海での岩礁埋め立て・軍事基地建設だけでなく、東シナ海での日中中間線付近でのガス田開発プラットフォームの海上基地化といった、中国の海洋進出を例にあげました。

このままでは、南と東のシナ海は中国の支配下となってしまいます。これは、日本にとって安全保障上の脅威といえるので、法整備が必要であると説明しました。



・抑止とは?

「抑止」は、相手が攻撃してきた場合、軍事的な対応を行って損害を与える姿勢を示すことで、攻撃そのものを思いとどまらせることをいいます

抑止が機能するためには、抑止する側に軍事的対応をする意図と能力があり、かつ、それが相手に正しく伝わっている必要があります。

中国に対して、「攻撃してきたら日米で協力して仕返しするぞ」といった意図を示すことで、中国からの攻撃を未然に防ぐことを目的としています。一方、中国の軍事力拡大を煽ってしまう可能性もあり、「安全保障のジレンマ」といいます。



・集団的自衛権はなぜ必要?

今回の安保法制には2つの側面があります。日本の安全保障に関わる側面と国際社会に対する協力に関わる側面です。そして政府は、後者を目的としています。

政府は中国の脅威について、身近で分かりやすい例としてあげているのであって、念頭に置いているのは「国際社会全体の変容」です。

ロシアが武力によってクリミア半島を併合したことをはじめ、世界各地で「力による現状変更」が起きています。国際社会と協力して、この力による現状変更を抑止すること、そして国際ルールを守らせることを目的としているのです




日本は今まで専守防衛、自国が攻撃されて初めて軍事力を行使できるといった、「日本人だけを守るための」防衛政策をとってきました。これから先もこのままであり続けるべきという意見があります。

それに対して、国際社会の変容を受けて、積極的に国際環境の親和や協力に関わっていく、国際主義に転換するべきという意見もあります。政府はこちらの立場をとっています。

しかし「どうして他国のために集団的自衛権を行使するのか」という意見を説得するのは難しく、政府は「日本人を守るために行使する」と国民を説得しています。

しかし実際には、そのような法案ではないため、国民の十分な議論や理解が進んでいないのが現状です。



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