大阪都構想が否決されるまでの経緯
公開日: 2015年5月18日 政治
大阪市を解体し、5つの特別区を新設する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票は17日投開票され、反対多数で否決されました。
大阪府と大阪市の二重行政を解消し、市民に身近な行政を実現することを訴えたが浸透せず、大阪市の存続が決まりました。
都構想を主張してきた大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は、12月までの市長任期を全うした上で政界を引退する意向です。
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・大阪都構想とは?
大阪都構想とは、大阪市と大阪府の二重行政による財源の無駄をなくす制度です。
本来、大阪府が取り仕切るべき広域事業に、大阪市が二重に手を出した結果、大阪市の借金は膨大に膨れ上がっているのが現状です。
そこで大阪都構想では、二重行政による無駄をなくし、都と区の役割分担を明確にするのです。
・都構想までの経緯は?
大阪都構想の制度設計を議論し、住民投票で賛否を問うための法定書案の作成に向けて、法定協議会が開かれました。
しかし、反都構想を掲げる自民党・民主党・共産党のメンバーは、対案のない反対をひたすら唱えました。都構想の賛否を問う住民投票をするには、法定書の議会承認が不可欠です。
そこで橋下氏は、法定協議会の規約を根拠に、反都構想のメンバーの排除に踏み切りました。
・なぜ否決された?
日本維新の会は、大阪都構想にとどまらず、道州制を目指しています。橋下氏も中央政府にがんじがらめにされた地方自治に嫌気を指し、「地域主権」という言葉を口にしています。
道州制に反対する人の票を遠ざけてしまった可能性があります。また、東京府と東京市を合併した経緯から大阪都という名称をつけることに、疑問を持つ人もいました。
橋下氏が引退した場合、残る問題を解決していくリーダーが存在しないことを懸念する意見があります。大阪市に横たわる貧困問題や既得権益をこのまま放置せず、また違った手段を見つけていく議論が必要とされています。